「チャーリー、あなたの愛する人ってだれなの? そろそろ周囲にほんとうのことを話さないと。というよりか、もうずいぶんと周囲をだまし続けているわ。陛下や妃殿下をだまし続けているのよ。いったい、どうするつもりなの?」
「ラン、ちょっと待ってくれないか。いったいなんの話をしているんだ」

 彼はグラスをローテーブル上に置いてから、慌てて尋ね返してきた。

「契約結婚のことよ。偽装結婚だったかしら? とにかく、わたしたちはほんとうに結婚しているわけではない。あなたにはほんとうに愛する人がいて、わたしはその人に妻と王太子妃の座をバトンタッチする為、土台を築いている。そのことをよ」
「なんだって?」

 彼は、わざとらしく絶句した。