「それで? わたしに何の用かしら?」

 疲労にドッと襲われたけれど、おくびにも出さない。

 それが悪女だと思うから。

「えっと、『大聖母』、ラン・ウインザー公爵令嬢。はじめまして。おれは、チャーリー・ラザフォード。アディントン王国の外交官なんだ」
「ラザフォード? 王族なの?」

 ラザフォードは、アディントン王国の偉大なる王家の名である。