彼女は、ふだんは社交の場からいっさい遠ざかっているらしい。その美しさゆえに、世の貴公子たちの目に触れさせたくないからである。といえばきこえがいいけれど、じつは彼女はチェスター一筋らしい。そして、チェスターも彼女を愛しているとか。相思相愛の二人は、あとはタイミングという状況らしい。

 が、チェスターの実家の状況が好転するまで、彼は結婚に踏み切れないとか。

 彼女、つまりイザベルは、チャーリーにチェスターの尻を叩いてはやく自分にプロポーズするよう説得してほしいと頼んでいたらしい。

 東屋で見たのは、それを頼んでいる途中だったというわけ。

 はやい話が、わたしはまったく見当違いの勘違いをしていたのである。