長椅子からそっと立ち上がった。さりげなく執務室の外に出ようとすると、同じ考えらしいチェスターもじりじりとうしろに下がりつつある。

「待て、待ってくれ。二人ともいてくれ。おれを一人にしないでくれ」

 チャーリーに気づかれてしまった。

 チェスターもわたしもその場に固まってしまう。

「なんですって?」

 驚きの声とともに、チャーリーの愛する人がこちらを振り返った。

「やだ。気がつかなかったわ」

 そして、わたしを見て言った。

 いえ。いくら小柄でも見えないほどではないのですが。そんなわたしに気がつかないってどういうこと?