チャーリーといっしょに部屋を出て行きながら、亡くなったお母様に詫びた。

(お母様、ごめんなさい。お父様を見捨ててしまったわ)

 お母様は、政略結婚だった。

 お母様は、お父様のことを愛していたのだろうか。歩み寄ろうしたのだろうか。

 お母様は、お父様のこんな醜態や本性を見て悲しんでいるだろうか。

 わたしにはわからない。

 だから、詫びるしかない。

 部屋を出て馬車に乗り込んでもなお、お父様の悲痛な叫び声が耳を離れなかった。