お父様は激昂し、拳を振り上げてこちらに向ってこようとした。

 が、すぐに屈強な近衛隊の隊員二人にとりおさえられた。

 というか、あなたのことを家族とは思っていないと言ったばかりよね。それでもなお親と言うのなら、あなたの頭の中はお花畑になってしまったのに違いない。訂正。とっくの昔にお花畑になっているわね。

「ウインザー公爵、ランの言う通りです。あなたが愛する家族をほんとうに救いたいのなら、わが身をさしだせばいい。捨てた実の娘を利用するのではなく。あなたとは初対面で、これが最期(・・)に会うことになるのでしょうけれど、正直ぶっ飛ばしてやりたいですよ」

 これまで黙っていたチャーリーが口を開いた。

 その声は、いつもと違って低く鋭い。まるで鋭利な刃物を振り回している、そんな危うさを感じる。