その執念はすごいと思う。そして、才覚も取り柄もないお父様が、その執念でここまでやって来れたのは奇蹟に近い。褒めてあげたいくらい。だけど、わが身を犠牲にして二人を助け出すならまだしも、勘当した実の娘を生贄に差し出そうだなんてよく考えついたものだと逆に感心してしまう。

「お父様、いえ、ウインザー公爵。くそくらえ、です」

 きっぱりすっきりはっきりそう告げた。

 マナーの先生であるセルマがきいたら、きっと眉を顰めるに違いない。

「な、なんだと?」

 お父様は自分の耳を疑っているみたいだけど、チャーリーや護衛の近衛隊の隊員たちはプッとふきだした。