意図した方法ではなかったけれど、すくなくとも王太子妃としての立場の基礎は出来ている。彼の愛する人に引き継いでも問題はないはず。
 バラ園の東屋で見た彼女は、容姿は抜群だし知的な感じもしないでもなかったから、わたしよりかはまともにチャーリーを助けられるに違いない。周囲だって容姿がいい方が接しやすいだろうし。

 そういうふうにわかってはいるのに、違う自分が「いまのままでいいじゃない。どうせチャーリーも話をきこうとしないのだから、このままいっしょにいればいいわよ」とささやいてくる。

 忙しくはあるけれど、しあわせな一日一日をすごす。

 わたしのささやかな望み。それがいまここにある。不安とともにだけれども。