そんな過去はともかく、いますべてを詰め込んだところでアップアップするだけなのは自分でもわかっている。わたし自身、利口ではないし洞察力や観察眼にすぐれているわけではない。

 いま出来ることを、出来る範囲でやっていくしかない。

 マナーについては、引き続きセルマ・プロッサー侯爵夫人に叩きこんでもらっている。ドレスや化粧など見てくれについては、ジャニスやカイラだけでなく王子妃たちが教えてくれる。政治や経済や外交や文化については、チャーリーやその分野のスペシャリストに教えてもらっている。国王もなにかと気にかけてくれて、教授とか先生とかをよこしてくれる。社交界については、セルマだけでなく王妃も教えてくれる。

 というわけで、これまでにないほど必死な毎日をすごしている。充実しすぎていてあっという間に月日が経ってしまいそうだ。