わたしもチャーリーに負けてはいられない。自慢ではないけれど、わたしの知識は書物や噂話をききかじった程度しか持ち合わせていない。それでもウイルクス帝国の皇太子の婚約者だったときは、恥ずかしくないよう様々なジャンルの書物を時間が許すかぎり読み漁った。

 いまにして思えば、皇太子の婚約者たる者がいくら「大聖母」であったとしても、妃教育とかマナーの授業とか受けなければならなかったに違いない。それがそういう話すらなかった。ということは、義務で婚約者、そして皇妃にするだけで、そもそも公式の場に出すつもりはなかったのかもしれない。それどころか、最初から婚約を破棄するつもりだったのかもしれない。

 そう考えると、ますます腹が立つし口惜しい。