亡くなったお母様のお古の靴で歩きまわるのは、そろそろ限界に近い。

 いま着用している地味なドレスと靴は、お母様の形見である。

 歩きすぎて靴擦れを起こしている。それでも歩き続けている。

 それなのにまだ皇宮の外に出ることが出来ない。

 というか、目指す方角が合っているかどうかもわからない。正門でも裏門でも抜け道でもなんでもいいから現れないかしら。

 心が折れそうになったそのときである。