それはともかく、だれもが国王の続きの言葉を待った。具体的には、だれの名が発表されるのか、固唾をのんでききいっている。

 正直、わたしにはどうでもいい。そして、チャーリーにとっても。他の王子たちは、緊張や期待でドキドキしているに違いない。とくに第一王子は、正妃の子である。最有力候補の彼は『指名されたとき、どう受け答えしよう』と、頭の中で台詞を考えているかもしれない。

「王太子は、第五王子チャールズとする」

 その名が大広間に響き渡ったと同時に、またまた拍手と祝福の叫び声がわき起こった。

 一瞬、チャールズとはだれかしら? と思った。だけど、すぐに思い出した。チャーリーはチャールズであるということを。