(全然似ていないじゃない。というか、彼女って辺境の出身なわけ?)

 度肝を抜かされた思いである。

「ラン、ほんとうにありがとう。兄から急使が来たの。『おまえからもくれぐれも礼を言ってくれ』、と。そして、『ランをわが娘のように大切にするように』、とも。兄に言われたからではないけれど、わたしはそのようにしたいと思っています。ラン、これから仲良くしてね」

 困惑しているわたしなどお構いなしに、彼女はわたしの両手をつかんで上下にブンブンふりまわした。

「は、はい、王妃殿下。ふつつか者ですが、こちらこそよろしくお願いします」

 この場で伝えるべき当たり前の言葉を返すしかなかった。