国王は、続ける。

「この大広間にいるほとんどの者は、日々不自由なく生活が出来ているのが使用人たちのお蔭であることを、ついつい忘れてしまいがちだ。わしも含めてだがな。これを機に、みなも考えてみて欲しい。もしも使用人たちに対して感謝やいたわりの心を忘れているのなら、思い出して欲しい」

 シンと静まり返っていたけれど、国王が着席すると同時に盛大な拍手が起こった。

 って、ちょっと待って。

 わたし、そんなごたいそうなことはしていないのだけれど。強い信念や正義感でもって触れてまわっていたわけではない。

 ひとえに悪女たらんと嫌味を言って回っていただけなのに……。

 それがこんなにおおごとになっているわけ?

 これではまるで「聖女」の行いじゃない。