国王は、「これぞ国王」というほど国王である。恰幅があり、威厳たっぷりでやさしそう。書物や子ども向けのお話に出てくるあの国王そのままの国王が、このアディントン王国の国王である。

 ここにきてから二度ほど、国王に会う機会があった。が、会話というほど話はしていない。ひと言ふた言声をかけてもらった程度。そんな短い時間ですら、彼からやさしさと思いやりを感じることが出来た。

 正直なところ、国王とあの王妃が夫婦であり続けているのが不可思議でならない。

 国王は、玉座につくと全員にラクにするようにと命じた。その声は、低音でよく響く。耳に心地いいその声は、ずっときいていたいほどである。

 チャーリーとともに他の王子や王子妃たちと並び立ち、上目遣いに国王を見た。