「そうね。お腹がすきすぎてクラクラしているわ。厨房に行ったら、料理の残り物があるかもしれない」

 ここに並んでいる料理に手をつければ、王妃たちが目くじら立てることはわかりきっている。だから、必死にガマンしている。だけど、それも限界に近い。

「おれも腹がペコペコだよ。では、完璧レディ。いざ、厨房に参りましょう」

 彼が腕を差し出してきたので、それに自分の腕を絡めた瞬間である。

 国王陛下がお出ましになる、と触れがあった。