「どうやら、この場で王太子の発表をする予定らしい」
「では、この宴の『大恥をかかせる』という目的も、ついでというわけね」

 おどけたように返すと、彼は苦笑した。

「王妃たちも『大恥をかかせる』ことについては諦めもついただろう。なにせ、きみは完璧だから。彼女たちの顔を見れば一目瞭然だよ。『溜飲が下がる』とは、つくづく思うね。それはともかく、向こうも用事はないだろう。おれたちは、この辺でお暇しようか」

 彼の言う通りである。