披露宴というのは、あくまでも建前。だれもチャーリーとわたしの結婚を祝おうという気持ちは持っていない。それどころか、わたしたちの存在を認めてさえいない。

 第五王子であるチャーリーは、王子たちの中では一番優秀である。それは、すべての面においていえる。だからこそ、外交という大切なポジションにいるし、実際様々な国々に出向いてやり手の外交官や官僚や王侯貴族たちを相手につねに優位に立てている。

 他の王子たちといえば、王宮でちょっとした政務に携わっているだけである。たとえば簡単な問題が解決する認可をするだけとか、書類に印を押すだけとか。
 たしかに、祖国の元婚約者ほどバカで愚かな王子はいない。というか、元婚約者ほどの愚か者は、古今東西どこの国を捜してもそうはいないに違いない。