まず、罹患者が収容されている医療施設を訪れた。

 辺境伯は、周辺の領主たちにも緊急の使者を送ったらしい。それを受け取った領主たちは、自分の領地にいる医療従事者たちを向かわせた。その中には、流行り病を処置したことのある医師が数名いた。

 だからこそ、患者たちは驚くほど適切な治療を施され、病と闘っている。

「彼らには悪いが、この辺り一帯を隔離地域に定めている。いっしょにいた家族も、罹患していないことがはっきりするまでこの地域で生活してもらっている」
「セルザム卿、じつに適切な対応です」

「偏屈辺境伯」と名高いシドニー・セルザムに案内してもらっている。

 彼から説明してもらうと、チャーリーが称讃した。しかし、辺境伯は「フンッ」と鼻を鳴らしただけだった。