三日後、チャーリーとわたしはウイルクス帝国との国境地帯に赴いた。

 この辺りの領地を治める領主は、書物に出てくるような堅物の辺境伯である。が、じつに見識が広く、領民を大切にする名領主という。

 流行り始めた疫病に関しても、すぐにその緊急性と重要性を認識し、王都に使者をだすとともにみずから指揮を執って罹患者の対策と蔓延防止に努めた。

 辺境伯がいなければ、あるいは彼以外の領主だったら、他の領地や地域に広がったかもしれない。それは、罹患者の数を増やす結果になる。

 ひいてはアディントン王国そのものに致命傷を与えたかもしれない。