昨日、バラ園の東屋で見たことはなかったことにしよう。そう。なにも見なかった。だから、今朝はふつうにしなければならない。いつもと同じようにチャーリーに接しなければならない。

 一日でも長く彼とすごす為に、なにも気がついていないふりをして悪女を演じるのである。

「簡単なことでしょう?」

 トボトボと洗面台に行き、鏡の中の自分に尋ねた。

「出来るわよね?」

 念を押す。