「大聖母」だったり、あるいは愚か者の婚約者だったり、それらで利用されるだけ利用されてポイされたのは諦めがつく。腹は立つけれど。それはともかく、正直ポイされたことで自由になってよかったとさえ思っている。

 しかし、いまは違う。ここでポイされたら、行き場を失ってしまう。物理的にというよりか、精神的に。

 覚悟が足りなかった。いまさらながら気がつかされた。

 さらにつらくて悲しいことになる。それも覚悟しなければならない。

 そうとはわかっている上で、いましばらくここですごしたい。契約終了のその瞬間まで、チャーリーの側にいたい。

 翌朝、ショボショボの目で陽光満ち溢れる室内を見ながら、そう決意した。