「言っとくが,僕にはたまたま生まれた場所でたまたま偉そうにしている人間を敬う趣味はない」

「余裕だな」

「それはそうだろう。僕は死なないし,そんな状況になって死ぬのはあんたら他人だし。どのみち僕は今すぐ死んでも構わない」



この病は,身体を蝕むものだ。

人間の養分を吸い育つもの。

いつ死ぬかは分かったもんじゃない個人差の出るものだが,今もまだ何百年も前の本の通りなら,僕は中々に長生きしている。

明日かもしれない,明後日かもしれない。

そんな思考はとうに飽きた。

外的要因で死ねないならと絶食を試みようものならば,抵抗する病によって僕は暴れ他人を食らい狂うらしいと知りやめておいたのが懐かしい。



「まぁ,いいだろう。それより,本題だ」



やっとか,と僕は肩をすくめる。

年配の偉そうな態度は変わらなかった。



「ここ最近,フラワー病による事件が多発している。そこで,その解決のデモンストレーションの為に少数部隊を編成した」



雲行きの怪しい話に,僕は脱出路を目で探し始める。

始めるもなにも,起きたときからそうしているが,あいにく1人で切り抜けられそうな道はまだ見つからない。



「お前にはその盾として同行して貰いたい」

「……盾?」