「状況,足のサイズ,香り。三十数人しかいない隊員のなか,全てクリアしてくれる人間。それがお前だよ……アイザ·デ·アスナロ」
「おかしいな。確かに遠くに放り投げて置いたはずなのに。よく見つけたね,よく……知っていたね」
「僕は無駄に本を読み漁っていたわけじゃない。花に関するものはピンセットで慎重に何度も捲った。ミステリー小説にはまったこともあれば,密室を考えたことも家を舞台に考えたこともある。……まあ,出られない僕には試せなかったけどな」
でも僕はそんな話をするためにここまで長話をしたわけじゃないんだ。
「さて,それでお前は……何故ココラティエに手を出した?」
「今度は僕の話す番? まあ,いいよ。大した理由じゃない」
ピクリと僕のこめかみが動く。
ほとんど人影にしか見えていないだろうアイザは,そんなことには微塵も気が付かなかった。



