ー野に咲く花の冒険譚ー

「アイザ」



木の太い枝の上から,僕はそいつを見下ろす。

静かな声色も,皆が不安に寝静まった夜にはよく響いた。



「あれ,ジョセフィーネ。夜這い?」

「違う,お前こそ何してる」

「あー僕?」



相変わらずの軽薄さ。

僕は渦巻く感情をにこりとした笑みで鎮め,毒づいた。



「僕を探してたんじゃないのか。戻ってこないから,何かに気付いたんじゃないかと焦って」



アイザは何も悟らせない無表情で固まる。

僕もよく使う手だ。

けれど悟らせないことは,時と場合によって全ての情報を与えてしまう。



「何故ココラティエを手にかける真似をした」