「知るか。……僕も大したことは知らない。ただ過去観測されたことの無い規模の花が,どこだかに咲いて近隣住民の不安を煽っているらしい」
「じゃあ僕らの仕事はその除去? 何で他のとこみたいに消えていかないんだろうね」
アイザが言いたいことは,分かる。
1件目のように蕾が暴れているならまだしも,とっくに咲いている花が問題に上がり続けるなんて。
でかい,花。
似たような話をつい先日聞いたと,肌がひりつく。
最大にして唯一である異端が解き放たれる位だ。
思ったより楽観してはいけないことなのかもしれないと,けれどリリィを見てほっと息を吐いた。
リリィをみて安心を覚えるようになるとは。
なのに砂がかかるようなざらめきが,僕の胸を撫で付ける。
暑くも寒くもないムカムカした曇り空の中を,一行は薄い笑みを浮かべながら乗りきっていた。
皆何かを感じ取っているのかもしれない。
けれど大丈夫。
僕らの旅は,きっともう終わる。