ー野に咲く花の冒険譚ー




「タルト」



呟きにタルトが笑う。

わざわざこんな早くに僕を探したのかと,聞くまでもない。



「タルト,……タルト」



頭上に右手を持ち上げると,タルトがその手を拾い上げた。

子供のように意味もなくその名を呼び掛け続ける僕は,その実頭には沢山の言葉が浮かんでは消えていく。




「話がある」




タルトは,やんわりと拒否をするように立ち上がった。

けれど元々,そのまま背を向けられるようなタチをしていないタルトは,ただ黙って僕を見る。

タルトとは違い,逃げることが出来てしまう弱い僕は,左手首を鼻の頭に乗っけて視界を暗くした。