ー野に咲く花の冒険譚ー




「リリィ,どういうことだと思う? 今までそんな話,聞いたこともない」

「さあ? わたくしちゃまも分かんない。でも,わたくしちゃま達は相互な存在なの。わたくしちゃまにとってはととさまとかジョン。最初の子供にはわたくしちゃま」

「教えられなきゃ勝手なことはしない?」

「うん,そう,多分」



真っ直ぐに僕達は走っていく。

僕は多少息を切らしながら,タルトに現状の説明をした。

見えてきたのは1軒の廃れた木造建築。

けれどそこには,先程の連中が幻でも見たのかと思うからい,何もなかった。

ただただ静かな空間に,半分抉れた施設が異質に佇んでいる。



「なんなんだ,一体」



葉っぱ1つの痕跡もない。

施設からの足跡が,砂に薄れている程度。

他には何もなかった。

風の吹く砂地に,あるのは僕らの間に流れる不穏だけ。



「取り敢えず戻るか」



僕の提案にタルトは頷く。

けれどその後,タルトは踵を返す僕の手首を掴んだ。