ー野に咲く花の冒険譚ー


「そ,そうだった……。俺達は国の保護のもと1つの施設にいたんだが……突然でかい花に襲われて……」


僕は勢い良く人間の走ってきた方を向いた。

開けたその方向に,ここからは何も見えない。



「どんなだった? 花つきの様子は? 周りに人間は?」

「ち,ちがう。"花だけ"だった。とっくに咲いた花が突然現れて」

「ジョン! 大丈夫か?!!」



僕の目の前で正座する何十もの人間。

向かってきていたタルトがようやく到着し,後ろから僕を掴んだ。



「タルト,僕は大丈夫だ。問題ない」



ただ1つ,面倒なことになった気がしないでもないけれど。



「お前達花つきはもういい,僕に用はない。花つきでは無くなったのだから,好きに帰れ。ただ,僕のことを他言したら連帯で皆殺しにする」



そんなつもりはさらさらないが,1度僕の圧倒的武力に晒された人間は皆神妙な顔で頷いた。



「タルト,お前はこっち」



説明もないままに,僕はタルトを振り返りもせず走り出す。

タルトは僕の信頼の通り,たったそれだけの行動で後ろをついてきていた。