ー野に咲く花の冒険譚ー




「うん,こう,だよね? ……ままの命令,ちゃんと聞いて。もう,死んで?」



1度見たのとそのままに,男についた花は自身の時を早め,さらさらと崩れ粉になった。

服に付着したそれに,理解できるわけもない男が恐怖を顔に張り付ける。



「いいか? 僕は花に苦しむ人間を救うことが出来る。だから今離れた人間全てをもう一度集めてくれ」



僕は男の拘束をゆっくり解いた。

男はじわりと見開いたまま硬直し,ごくりと喉を鳴らす。

その顔には,沢山の疑問や疑念が正直に浮かんでいた。

仕方ないと思いながらも,待ってはいられない。



「頼む,1人いなくなったくらいじゃ僕には分からな……」

「その人から離れろ! その人は俺達に必要なんだ!!」

「そうよ! 私達が諦めずに生きていられるのは……」



重たいため息がひとりでに飛び出す。

この村に来てからこんな目に遭うのは2回目だ。

僕が一体お前に何をした?

話も聞かず一方的に責められるのは気分が悪い。

まるで僕の存在が……いや,考えるな。