地面を2本の足で歩く人間には慣れない体験だったものの,乗りこなすと考えれば案外なんとかなる。
丁度いい体勢をとり,余裕のできた僕は足元の大きな葉を見た。
……でかいな。
これでは目立つ。
いつか必要になる時のために,もう少し改善が必要だと思った。
目の前で驚き背をそらす男。
僕はそいつの首を掴んで,締めるように後ろへと回る。
誰かが叫び,気付いた何人かだけ足を止め僕を見た。
そう,それでいい。
「とまれ!!! じゃないとこいつは殺す」
強い気を纏わせ,真っ直ぐに脳へ届く言葉を敢えて選ぶ。
戸惑いが伝播し,全てが足を止めた。
「は,離せ。なんなんだお前」
じわじわと僕へ迫る花。
僕とリリィ,そして大きくなろうとする自身の花を見比べながら,男は恐怖に目を閉じる。
それで収まるわけもないのに,身を縮こまらせ,せめて自分の花が攻撃を仕掛けないようにと唇を結んでいた。
「リリィ」
至近距離の男にも聞こえるか分からない,そんな声でぽそりと呟く。
リリィが聞き取るには十分な音量だ。



