「っとまれ!!! こっちは村だ。助けてやるから,こっちじゃなくて東……」
「お前ら! 人間だ!!!! もう散ってもいい,生きろ!!!」
最悪だ。
リーダーのような役割をしていると見える中年の男が,1番迷惑な決断を下した。
返事をして,歯を食い縛りながら八方に散った花つき達。
「リリィ,ここからでも届くか?」
「無理だよ。わたくしちゃまの声,人がうるさくて届かない」
恐らく纏まって走ってきた彼らは,当然ともいえるが自分が花つきだと自覚している。
そして他人を傷つけると,よく知っているのだ。
だからそれでもこちらへ走ったのは訳があるのだろうし,だからこそ僕を見て逃げ出す。
僕の身体がふわりと浮いた。
押し出されるように力強く,地面が離れる。
目を見開いていると,足元にリリィの一部が見えた。
リリィが僕を落とすとは思えない。
でも
「っせめてやる前に言ってくれ!」
「きゃっ,ごめ~ん!!!」
返ってきた確信的な高揚に,もう僕は好きに楽しんでくれとメガネの縁を飛ばないように押さえた。



