ー野に咲く花の冒険譚ー



「ととさま……!!!!」



あ,とわたくしちゃまは思った。

これはダメなやつで,ととさまが1番嫌なやつ。

だけどもう取り返しがつかなくて,わたくしちゃまは少し揺れたあとぴたりと止まる。



「なんだ? なんなんだおい! 答えろ!!」



再びととさまに掴みかかる人間。

わたくしちゃまは迷って,悩んだけど今度は逆に頑張って黙った。



「帰ってくれ!」



掴み引き剥がそうとしたととさまだったけど,ひょろりとしたととさまより兄さんの方が強い。

兄さんは私を振り向いて強引に持ち上げた。

葉っぱがちぎれて,怖い顔をしたととさまが目から水を出す。

わたくしちゃまは,ととさましか通れないドアの外へ行きそうになった。