わさ,と動くと,瞳を閉じたととさまはわたくしちゃまを優しく見つめた。
「いいや,僕は90。兄が100で,君にとっての僕みたいな2人の人間は,100がいるから90を認めなかった」
それからととさまはバイトを3年やり通し,餞別にとアパートの一室とお金を貰ってバイトをしながら大学の受験をしたらしい。
「たまに飽きもせず連絡を寄越すけど,恥になるなと言うばかり。僕がどこでなにをしているのかを知りもせずにね。君のために何もかも辞めたけれど」
その次の日,ととさまはどこかへ行き,何かを持って帰ってきた。
「それなあに?」
「タルトだよ。甘くて好きなんだ」
「すき? あまい? いいなぁ」
分からなかったけど,ととさまがすきならいいものなんだと思う。
「あはは。残念だけど,君はまだ食べる行為になれちゃいけない。もう少ししたら試してみよう」



