ー野に咲く花の冒険譚ー



突然触られて,わたくしちゃまは驚いた。

でも,そんな必要ないってなんとなく思ってて。

わたくしちゃまは,自分より大きいであろうその人を受け入れる。

すぐに,その人はわたくしちゃまに言葉を教え始めた。

身振り手振り,カラフルで平たいペラペラに,今度は音の出る変なやつ。

ペラペラの集まった絵本と言うやつ。

わたくしちゃまが文句を言わない限り,何でも持ってどこからか戻ってきた。

わたくし,わたし,ぼく,ちゃん,くん。

いっぱい聞いて,選べなくて。

ようやくわたくしちゃまはわたくしちゃまになった。

わたくしちゃまをつくった人にもある髪の毛が,ちょんと上になった人のテレビを見て。

ととさまはととさまになった。



「ととさま,いつもあそこからどこ?」



ドアから出ていき,数時間以上戻らなくなる理由を尋ねると,その日からととさまはそうしなくなった。

わたくしちゃまのその気持ちを,ととさまは寂しいと言うのだと教えてくれる。