ー野に咲く花の冒険譚ー




「おじいさまって,だれ? わたくしちゃまが食べた人? ジョンはそれが嫌だったの? だから嫌いなの?」



僕は渦巻く数々の感情を整理できず,口を閉じた。

タルトと話したあの時,花は起きていた。

だからその後花は静かになって……



「ごめんなさい」



僕が気を悪くしたのだと,花はつっぱって縮小する。



「いや,いい。お前はもっとこの世界を知るべきだから。おじいさまのことは……もう全てどうでもいいんだ。ただあの人を喪ったその事だけが重要で,僕はとても,かなしい」



触れられない。

幾度思い浮かべようと,逢えはしない。

あの笑みを,僕の近すぎる眼前に見ることはもうない。

大切な人を喪うのに,悲しみ以外は必要じゃない。

湧きようも無いんだ。

原因が人であろうと,花であろうと,病や事故であろうと。



「かなしいって,なに……?」



花は探るように聞いた。



「僕の話しはいい。それは教えられるものじゃないから。お前は,お前が眠るまでは。どうしていたんだ?」



花はぐるぐると茎を巻いて,以前のように暴れることなくゆっくりと話し始めた。