ー野に咲く花の冒険譚ー



「お前はお前で,僕に言いたいことがあるんだろ」

「……あの"婆さん"は,わたくしちゃまのこと,"きらい"なの?」



触れられそうになっても言いつけ通り静かにしていた花は,あれから時間が経った今そんなことを言う。

僕は躊躇った。

僕が口にするのは,きっと花の望む答えではない。



「そうかもしれないな」

「ジョンも?」



今度は食いぎみだった。

本当に聞きたいことは,最初からそれだったのかもしれない。



「──どうだろうな」



僕はもう,分からなくなっていた。

花だから嫌いだったんじゃない。

僕の自由を,おじいさまを,奪った花が嫌いだった。

でも,世界でたった1輪心細そうな声を出す僕の花は。

そんなわけがないのに,人間の僕に似ている気すらしてしまう。

目を覚ましたこいつのことを,僕は嫌いと言えるのだろうか。