「行こう,ジョン。弁明したところで何も変わらない」
僕は小さく頷き,タルトの後を続いた。
右手を掲げ,婆さんの包んだ小さな花を見る。
「……」
「ジョン?」
「……いや,なにも……」
僕は微かに,この小さな村の歪を感じ取っていた。
それは薄く,薄く。
全容へと結びつけられない程の薄さで,この村での出来事を僕に直感させていた。
少し咳をすれば,痰が出るような。
奇妙な感覚だった。
「呑みすぎる前に隊員を探しに行こう。まだ昼だと,この後もあると伝えないと。アイザも出来れば長く目を離したくない」
「あ,ああ,そうだな。あの婆さんも,平気だと良いが……」
ざわめく胸を服越しに掴み,僕は気が急くように歩き出す。
タルトは僕にアイザに婆さんと,忙しく心配に頭を働かせていた。
この嫌な感覚は何なんだ。
僕は考えながら,恐らく。
同時に目を背けようともしていた。
僕は振り切るように歩き,右手を強く握る。
人差し指でさらりと花がほどけ,僕が顔を歪める程きつく,それは僕の腕全体に巻き付いた。



