「この村で花は地雷みたいなもんさね,すぐに誰かの心は爆発してしまう。昔は遠方から華やかさも買っていたが,今は,もう……あぁ,それは隠しておきんなさい」
言葉を実行するように,肉売りの婆さんは僕の人差し指をそっと包み隠す。
すっと婆さんが手を開き,僕が見つめたとき。
婆さんは頑なな態度を表すように,一言も話さなくなっていた。
「……ありがとう」
よくは分からないが,僕が立ち去った方がいいと言うことは理解できる。
ゆっくりと背を向けると,タルトは逆に婆さんの顔を覗き込んだ。
「婆さん,おい,婆さん! 大丈夫か? 顔色が……」
「あ,あなた達! 何してるんですか!!」
切羽詰まったようなタルトの声と,知らない女の金切り声に僕はざっと振り向く。



