ー野に咲く花の冒険譚ー



「ああ,あぁ。肉ね,肉。えーこれが,あーいくらだったかな。分かんないねぇ。適当でいいよ,全部持ってきな」



あれよこれよとあちこちから肉を机に上げ,肉売りの婆さんは全てこちらへ押しやる。



「はあ……婆さん,いくら物が分からなくなったからって,それないだろう。僕達はタカりに来たんじゃない。そもそも村の代表として売ってるんだろ,その肉は。しっかりしてくれ」

「ジョン,構わないさ。……婆さん,これだけあれば足りるだろ? その辺で失くさないようにな」



タルトはどう見ても見合わないだけの硬貨を,婆さんの目の前に広げた。



「タルト,人が良すぎる。これじゃ無駄遣いと変わらない。どうするんだ,これがそういう商売だったら」

「ジョンはそう見えるのか?」



僕はぐっと口を引き結んで,眉を揉む。

これはきっと何を言っても,タルトの気持ちは変わらないだろう。