ー野に咲く花の冒険譚ー




「今,いいのか?」



嗄れた顔,嗄れた手。

ピクリと指は動き,僕は僕の身内にもこんな存在はいたのだろうかと想像する。



「あぁ,ああ。もちろんだとも……みない顔だねぇ,可愛いお嬢さん。おや,そこの男前は……私の孫かい?」

「一目で僕の性別を当てたことは称賛するが,違う。タルトはあんたの孫じゃない」



声まで嗄れた婆さんは,ほっそい目をさらに細め,僕を見た。



「あぁそうかい。そうだろうねぇ。いやはや,男前に育ったもんさ。亡くなったじぃさんによぉ似とる」

「そんなわけないだろう」

「ジョン,年寄りなんて皆そんなもんだよ。俺の婆さんだって,俺の名前ももう覚えちゃいない。……婆さん,俺達に売れる肉はどれだけだ?」