「ああ,ありがとう」
「少しの間はその辺にいる。また何か手が必要だったら声をかけてくれ。ほんとに少しの間だけだが,タイミングが合えば役に立てる」
「じゃ,遠慮無く」
飄々とした男に,僕達は背を向けた。
タルトは愛想よく手まで振っている。
「そういや,あいつら見ないな」
「どうせどっか1ヶ所に集まって酒でも飲んでるんじゃないのか? 酒を恋しがる声は聞き飽きていた」
「まー,そうか」
くすくす笑うタルトと共に目的地への視界を遮っていた家を避けるように歩けば,目の前にこくこくと船を漕ぐ婆さんが見えた。
脅かさないように歩くペースを落とし,近づけば僕はささやかに声をかけた。



