「にしても,他人の引っ越しのために奔走するなんて……人口が少ないとやっぱり手助けが基本になるものなのか?」
「まーぁそれもあるわな。ここの奴らは失ったものの代わりに人の世話を焼くのが好きなのさ」
その男の口調はまるで,そうしなきゃ生きていけないとでも言うかの様に聞こえた。
「……そうか」
僕が空気を読んで口を閉ざすなんて。
そんなことが今だかつてあっただろうか。
いや,今までの僕に,そんな事が出来ただろうか。
「ほら,これが約束の野菜な。こっちがイモで,こっちが遠方から送られてきたトウモロコシ。肉は東に向かって歩けばそのうちぶつかる」
ピッと指差された方をみれば,家が1軒建ち,よく見えない。



