「1つはとなり町の小さな村からどうにかしろと情勢も知らぬバカが騒いでおるから,それをついでにどうにかしてこいと言うもの」

「ついで?」

「2つ目が重要でな。今回お前を解き放つに踏み切った要因だ。遠くの村の背にある森の奥にある廃墟に,まだ確認されたこともないような大きさの花が咲いているらしい。写真を見たが,あれは危ない」



どんなものなのやら。



「……分かった。ただしその後は好きにさせて貰う」

「あいわかった。資金やら何やらはこちらで用意するゆえ,お前は……気持ちでも整えていろ」



資金が出るならば,少しは楽な旅になりそうだ。

けれど,バカ正直にこんな依頼をこなす必要もない。

逃げ時さえあれば,僕は直ぐに背を向けよう。

ろくでもない,こんなやつら。

信用できないし,屋敷は幸い燃えなかったものの,もう戻れない。