ー野に咲く花の冒険譚ー




「なんだ,何か言いたいことでもあるのか?」



花と会話することは,この部隊の中ではリスキーなことだった。

頭の片隅で引っ掻けながらも,僕はどうしたってそうすることを選ぶ。



「なんでもない,よ」



変な一人称も出てこない。

それでも声をかけた僕の気持ちを汲んだのか,何とか花は沈黙の後でそう答えた。



「そうか。じゃあ,村では大きな危険でもない限り大人しくしていろよ」



花弁を擦ると,花はそよそよと動き,ぴたりと止まる。

それは一体,どういう感情なんだ?

嬉しいも悲しいも了解も不満も。

僕は何一つ受けとることが出来なかった。