ー野に咲く花の冒険譚ー


もし本人も気付かないほどのもので済んだのだとしても。

あんなものを口にして,苦しくなかったはずがない。

意図を理解し,恐怖しなかったわけがない。

それは,ココが動かなくなるまでただ見つめていたであろうアイザが1番よく知っているはずだ。

場合によっては,助けを求める手すら振り払っているのだから。

それでも僕は,自分のためでない慰めを口にしていた。

嘘と言っても過言ではなかったのかもしれない。

これ以上はと僕は前を向く。

他の隊員に聞こえないようにしてやっただけ,もう満足して然るべきだ。



「ジョ~ン!!!」



そう遠くもない前方から,僕の名が呼ばれる。

タルトだ。

僕は1度アイザを脇目で捉え,タルトへと早足で向かった。