「ラムダさんが言っていました。夕星ラウエルは、必ずしも星祭りの夜に見えるとは限らない……と」 「マリア」 ジルベルトはその懐から小さな白い箱を取り出して、そっと差し出した。 「ラウエルの輝きには敵わぬかも知れないが。開けてみて」 「ぇ……っ」 戸惑うマリアの手のひらを持ち上げて、箱をその上に置く。程よい重みが手のひらの上に伝わった。 おもむろに、アーチ型の蓋を開けると。 「……鍵……?」