「社会人になったことだし、もう家を出ます」

淡々と言って、荷造りを始めると、母からは、

「純くんとの結婚はどうするの?」

そう言われ、思わずイラッときてしまい、

「純くんとは結婚しない。一緒には暮らすけど」

キッパリ言った。

「同棲なんていけないわ!一緒に暮らすなら、どうして結婚しないの?」

あなたたちの思う壺にならないために決まってる…そう言いたかった。

「どうしてかって?自分の胸に聞いてみたらどう?」

とだけ言うと、母は黙ってしまった。

「今まで、お世話になりました」

私は事務的に言い、もう、母の目を見ることもしなかった。