「お疲れ様でしたー!」

夕刻、勤務先の書店のオーナーに挨拶して店を出た瞬間、

「あぁ、びっくりした…!どうしたの?」

純くんが、かなりブルーな表情のまま、店の前で待っていたので、驚いて、ついそんな声が出てしまった。

「純ちゃん。今日は少し離れたところで話せる?」

最近は、仕事の後、最寄り駅近くの喫茶店や公園で話していたのに、離れたところがいいと言うあたり、何となく悪い予感はしたのだが、

「いいよ」

「駅前の駐車場に車停めてあるんだ」

「じゃあ、急がないとね」

駐車料金より何より、純くんの表情の暗さが心配だ…。

思わずギュッと手を握ったら、純くんは微笑んでくれたが、その瞳は虚ろである。