○心菜の家・1階 ダイニングキッチン
心菜「ねぇ、颯真くん。今日の夕飯はカレーなんだけど、食べる?」
颯真「食べる。ていうか心菜、いつの間に料理なんてできるようになったんだよ?」
颯真の記憶の中で、心菜は4年前の中学1年生のまま。
心菜「私だってもう17歳なんだから。カレーくらい作れるよ」
颯真「そうか。大きくなったんだな、心菜」
颯真のふわりとした優しい笑みに、ドキッとする心菜。
心菜「カッ、カレーよそうね」
キッチンのテーブルには、湯気のたつカレーライスとサラダが並ぶ。
向かい合って座る心菜と颯真は、手を合わせる。
心菜・颯真「いただきます」
カレーライスを口に含む颯真を、心菜はドキドキしながら見つめる。
心菜「ど、どうかな?」
心菜(自分の作ったものを、家族以外の人に食べてもらうのは初めてだから緊張する。
もし、颯真くんの口に合わなかったら……)
颯真「うん、めっちゃ美味いよ!」
バクバクとスプーンを止めることなく食べてくれる颯真に、心菜はホッとする。
心菜「良かった。たくさん食べてね」
それから、心菜と颯真は積もる話に花を咲かせた。
お互いの学校のこと。颯真が普段はカフェでバイトしていること。
そして颯真が小学生の頃始めたバスケを大学生の今でも続けていると聞き、心菜は嬉しくなった。
颯真「あ。心菜、カレーおかわりする? 俺がよそうよ」
心菜「いいの? ありがとう。それじゃあ半分ほどでお願い」
心菜(颯真くん、優しいなぁ)
しばらくして、人参が極端に多く盛られたカレーを目の前に置かれ、心菜は固まる。



